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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第9章 嘘



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見せたいものがある、と言われて辻本君の後をついていくことになった。

彼女も如月さんと同じように、俺がいくら迷惑だ、放っておけと言うのにも関わらず、ちょくちょく何かと声をかけてきては俺と行動を共にしたがった。

ただ彼女が俺の元に来るようになったのと引き換えに、如月さんはあまり俺の元に近寄らなくなった。
けれど甲斐君や平古場君とは前と変わらず接しているようで、それが非常に気に食わない。
辻本君が俺に好意を抱いているのはなんとなく分かっていた。

きっと彼女に遠慮して、如月さんは俺との接触を極力少なくしようとしているのだろう。
避けられ始めたことがショックで、俺の方から如月さんの元へ行くようにしていたのだが、いつもいつもいいところで、目の前で満面の笑顔を咲かせている辻本君に邪魔をされる。

けれどそんな彼女に「邪魔だ」とは言えないでいた。
自分に好意を抱いてくれている人間をあまり無下にはできなかった。

…気持ちに応える気のない相手に、そういった対応をするのは間違っているとも思ったのだが、如月さんの手前、彼女にきつくあたることもできないでいた。

かといってこうやって2人の時に冷たく接してみても、彼女はへこたれることなく食いついてくる。
それが少し面白くて、ついつい彼女に構ってしまう自分がいた。

「それで、見せたいものとはなんですか?」

「えへへ、着くまで内緒です!きっとビックリしますよ!」

「並大抵のことでは驚きませんよ」

すげなく言う俺をさして気にもせず、辻本くんは「こっちです!」と言って俺の手を引っ張った。

今触れている手が、如月さんのものであったら、俺はどんなに幸せだろうか。
そんなことがふと頭に浮かび、目の前にいる辻本君にとても申し訳ない気持ちになった。

キミが想いを寄せている男は、キミの目の前で他の人のことしか考えていない酷い男なんですよ。
そんなに純粋な瞳で見つめられる資格なぞ俺にはない――――。
胸が罪悪感で痛むのに、俺は彼女の手を振りほどけないでいた。

「じゃーん!」

辻本君が得意満面の顔で俺に示したのは、たわわに実ったゴーヤーだった。
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