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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第8章 思わぬ出来事




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この島では時折スコールが降る。
もう何度慌てて洗濯ものを取り込んだか分からない。
そんな時は大抵木手くんが取り込むのを手伝ってくれるのだけれど、今は彼の姿が私の前に現れることはなかった。

「そういえば、彩夏ちゃんと一緒にどこか行ってたっけ」

先ほど目にした二人の姿を思い出す。
嬉しそうな顔で木手くんを追っかけて行った彩夏ちゃんの姿を羨ましく眺めたのだった。

シーグラスを集めていた時、正直彩夏ちゃんのことは意識になかった。
あそこでタイミングよく彼女が現れていなかったら、私の気持ちはどうにかなっていたかもしれない。
二人のことを応援すると約束したのに、私はひどい大人だ。

そんなことを考えながら大量のシーツを取り込んでいたら、ぬかるみに足をとられてしまった。
ずるりと音をたてて靴が勢いよく地面をすべっていく。

踏ん張る力をいれる間もないまま、私の体は地面へと向かっていった。
気合でカゴの中のシーツだけは死守した。
その代わりに、私はドロドロに汚れてひどいありさまだった。

「激ダサだな…おい、大丈夫かよ」

「は、はは…思いっきり滑っちゃった」

苦笑いで差し出された宍戸くんの手を掴む。

「おいおい、膝けっこうすりむいてるじゃねぇか」

「えっ、あ、ほんと…」

指摘されて確認した膝は石ころや草でついたひっかき傷が出来ていた。
血が滲んで泥と混じりあっている。

「早く消毒するぞ」

宍戸くんに手を引っ張られて、管理小屋へと向かう。
その途中、彩夏ちゃんと連れ立って歩く木手くんの姿を見かけた。

スコールのせいか濡れて崩れてしまった髪型の木手くんを見て、ドキリとする。
その隣で笑っている彩夏ちゃんの肩にかけられた紫のユニフォームが、目にも鮮やかに映る。

この島で目を覚ました時、彼が私にかけてくれていたあのユニフォームだ。
やはり彼は、優しい子なのだ。
その優しさは何も私に限ったことじゃない。

そんなの分かり切ったことなのに―――こんなに胸が締め付けられるなんて、私の心はどれだけちっぽけなんだろうか。

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