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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第8章 思わぬ出来事



「力を抜いて。そんなにこわばっていてはいい動きができませんよ」

彼の声に背筋がぞくりとする。
誰のせいでこんな状態になっているのか、彼は分かっていないのだろうか。

「だっ、だって木手くんがそんなに…」

「?俺が、なんです?」

しれっとそう言う彼の顔は窺い知ることが出来なかったけれど、きっといつもと変わらない涼しげな顔をしているだろう。
彼にとってはなんともないことなのだろう。
固まったまま動けない私のことなどお構いなしに、木手くんは指導を続けた。





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賑やかな笑い声が聞こえて、見やった先には太陽の光にまばゆくきらめく金髪の少年と、ふわふわと揺れる茶髪の少年の姿があった。
楽しそうな彼らの姿に思わず足はそちらを向いた。

「何やってるの?」

「あ、如月さん。凛ぬやつの落書き見てみぃ」

甲斐くんの示す先には砂浜に描かれた何かのキャラクターの姿があった。
バナナのような何かにメガネがちょこんと描かれている。

「…これ何?メガネかけた…バナナ?」

「ゴーヤーだよ」

「あ、ゴーヤーか…なんでメガネかけてるの?」

「これ、永四郎さー」

平古場くんがケラケラと笑いながら言って、それを見た甲斐くんも同じように笑う。
木手くんが二人によく「ゴーヤー食わすよ」と脅していた姿が頭に浮かんで、ああ、と納得する。

「あははっ、言われてみればたしかに。ゴーヤー好きだもんね、木手くん」

「そうそう、あにひゃー(あいつ)は『愛のゴーヤー戦士』なんだばー」

平古場くんが命名した木手くんのあだ名がツボに入って、お腹を抱えて笑ってしまう。
笑い過ぎて涙まで出てきてしまった。

「ははっ、如月さんウケ過ぎ!」

私につられて二人もまた大笑いする。
3人とも笑うことに夢中で、すでに背後に近づいていた不穏な気配には気が付いていなかった。

「ほう、それが俺ですか」

振り返った先で木手くんは眼鏡を不気味に光らせ、鋭い視線を送っている。
小さく「ひっ」と甲斐くんと平古場くんが声を漏らす。

「永四郎…じょ、冗談さ~」

「おもしろい冗談ですね、甲斐くん、平古場くん……俺は『愛のゴーヤー戦士』ですからね。あとで、覚悟しておきなさいよ」
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