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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第7章 『薬』



「さて、今日は何よりもまず、食材の確保が最優先です。今からみんなで探しに行きましょう」

「木手くん…私もついて行っていいよね?」

「構いませんよ」

その木手くんの返事は、今までと少し違っていた。
今までだったら、「勝手にしてください」みたいなどこか突き放したような返答が多かったのに。
それまで感じていた木手くんとの距離がまた少し縮まったように思えた。
心なしか声音も優しくなったような、そんな気がした。

「では行きましょうか」

比嘉の子達と連れ立って、森の中に足を踏み入れていく。
木の根っこがあちこちに張り出していて、何度か足をとられそうになる。

「大丈夫ですか。気をつけてくださいね。無理は絶対しないこと、いいですか?」

「木手くん…ありがとう。うん、きつくなったら休むね」

私の返答に満足したように木手くんは小さく微笑んだ。
森の中は生い茂る木々のおかげで日影が多く、いくぶんか涼しげではあるものの、時折吹いてくる生ぬるい風がじっとりと汗をかかせる。

こまめに水分を補給するけれど、汗がとめどなく流れ、飲んだ分だけ出ていってしまっているように思えた。
寝不足の体にこの島の暑さは結構堪えた。

「永四郎、くまちぬくがばんない(ここキノコがたくさん)生えてるぞ」

「図鑑でよく調べてくださいね。毒を持ったものもあるでしょうから」

甲斐くんが見つけたキノコ密集地にみんなで群がってキノコを採集することになった。
私はみんなが持ってきたキノコが毒キノコかそうでないかを確認する係をかってでた。

中学生に任せてしまうのが、ちょっぴり不安だったからだけれど…本人達には言えないなぁ。

1人木の根に腰をおろして、図鑑を広げる。
カツンと小さく音がして、見るとポケットに入れていたはずのスマホが地面に転がっていた。

その拍子にディスプレイがパッと明るくなり、新着メールの数が表示された。
昨晩開封せずにいた元彼のメールの数だ。

意識しないようにしていたのに、そんなことはお構いなしに元彼の事がどんどんと私の頭の中を浸食していく。
転がり落ちたスマホに釘付けになったまま動かないでいる私を怪訝に思った木手くんが、私の目の前で手をひらひらと動かす。
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