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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第7章 『薬』



「俺達は俺達でやっていける。余計なことはしないでください」

「…永四郎、これくらいは食べてもいいんじゃないかぁ?」

平古場くんは私の持ってきた料理を見ながらうらめしそうな声で木手くんに嘆願する。
けれど木手くんは厳しい顔でそれを許そうとしなかった。

「いけません平古場くん。俺達は自分達だけで生活すると決めたはずです。大体…その料理に使われている食材は、向こうの人達が採ってきたものでしょう。
俺達が口にするわけにはいかない。もう彼らの力は借りないと宣言したのだから」

そう頑固に意地を張る木手くんをよそに、平古場くんは我慢できなかったのか目の前の料理を一口味見してしまった。
もぐもぐと音が聞こえそうな勢いで咀嚼して、んんっ!と声をあげた平古場くんの顔がみるみる笑顔になっていく。

「永四郎、くりいっぺーまーさん!(とっても美味いぞ)せっかく持ってきてくれたんやっしー、これぐらいいいじゃないかー」

「いけません。俺達は…」

木手くんはそう言って頑なに私の持ってきた料理を口にしようとしなかった。
平古場くんは木手くんの顔と料理を見比べて、悩みに悩んだ挙句、完食してしまっていたが。
止めても無駄だと思ったのか途中で諦めた木手くんは、勢いよく料理をかきこんでいく平古場くんをうらめしそうな目で見つめていた。

「分かった!そこまで木手くんが言うんだったら、これからは私が採った食材で作った料理にする!それでいいでしょ?」

「わんは如月さんの料理食べたい!いいじゃないか、永四郎。好意で作ってくれるって言うんだし」

「…はぁ。分かりました、それで手を打ちましょう。…いらないと言ってもどうせあなたは持ってくるのでしょうし」

「そうだね!そして食べるまで君達を追いかけるね!」

私の言葉に眉間に寄っていた皺がさらに寄って、そして一気に眉根が緩んだ。

「本当に…おせっかいな人だ。…負けますよ、その熱意には」

木手くんが慣例になりつつあるあの呆れた声でそう言うと、平古場くんが「やったー」と大きくバンザイをした。
その後、結局根負けした木手くんは私の持ってきた料理に手をつけ、ぺろりと平らげてしまった。
せっかくの料理が勿体ないと思ったからですよ、と小さく反抗しつつ、完食してくれた木手くんが可愛く思えた。
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