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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第7章 『薬』



にこりと笑うつぐみちゃんがとても可愛らしくて、同性なのにドキドキしてしまった。
これは周りの少年達が放っておかないだろうなぁと思う。

お礼を言って彼女達のロッジを後にする。
猛烈な眠気が襲ってきて、これ以上あちこち動くのも面倒くさくなり自分のロッジに戻る。

結局着替えられそうなものはなかったが、1日だけならなんとか我慢しよう。
また明日跡部くんに相談すればいいか、とベッドにゴロンと重たい体を転がす。

「あ、目覚ましかけとかないと…起きれなさそう」

唯一持ち出せたカバンを開けて、スマホを取り出した。
電源を入れようとしてすでにタイマーで電源が入っていたことに気付く。
パッと明るくなったディスプレイにはすごい数の着信と新着メールの数が表示されていた。

「えっ、何これ…」

気になって着信履歴を確認すると、それはすべて元彼からの電話だった。
見たくなかった名前がズラリと並んだ画面に頭がクラクラする。

「ってことはこっちもか…」

メールも多分元彼からのものばかりなのだろう。
メールボックスを開けると予想通りそれはほぼ元彼からのメールだった。
おびただしい数のメールと着信に、何があったのだろうかと少し気になってしまった。
よせばいいのに、私の指は新着メールを開封していた。

目に飛び込んできたのは「やりなおしたい」の文字だった。
他のメールも大体復縁を求める内容のメールだった。

「何考えてんの、こいつ」

虫がよすぎるにもほどがある。
あの子のお腹にはあんたの子供だっているのに──。
開いた何通目かのメールで、彼が復縁を求めた理由が分かった。

私を裏切ったあの友人は──、子供をなくしてしまったのだ。
あの時、あの話し合いの場に現れた彼女は、「結婚する」と私に宣言していた。
お腹にやどる子を二人で育てていくのだと、だから裏切ったことは申し訳ないが別れてほしいと。
彼女は小さくふくらみかけたお腹をさすりながら、そう言っていた。

その時は正直、憎くてたまらないと思った。
けれど今、子供をなくしてしまった彼女に対して、黒い感情は、もう湧いてこなかった。
それよりもそんな彼女を捨てて私とよりを戻したがる元彼に腹が立ってしょうがなかった。
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