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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第6章 距離



「そうかよ。まぁ、そういうことにしといてやる」

くく、と意地悪そうに笑う跡部くんに対して、深いため息をつきながら木手くんは「それでは」と言葉を残して立ち去って行った。
彼の背中が暗がりへと消えていったのを確認してから、跡部くんが私に向き直った。

「ずいぶんと仲良くなってるじゃねぇの」

「仲良く…って言っていいのか分からないけれど…まぁそれなりに」

「あいつと仲良さそうなのは気にくわねぇが…まあその方が都合がいい。美鈴、お前に折り入って頼みたいことがある」

「何?あらたまって」

からかうようなそれまでの声からガラリと雰囲気が変わり、跡部くんが至極真剣な顔でこちらを見つめてきた。

「あいつら──…比嘉中の奴らを監視してくれねぇか。」

「監視って…。見張るつもりはないけど…元よりあの子達のサポートをしようとは思ってた。何かあったら跡部くんに報告は入れる。それでいい?」

「ああ、それで十分だ。悪いな、本来は俺達でやるべき事だが──」

「構わないよ。君は他にもやることがいっぱいあるだろうし、他の子達に任せたとしても…不要な衝突を起こしかねないだろうし。
…それより跡部くん、私ちょっと気になってることがあるんだけど」

「あん?何だ?」

「…ここじゃないとこで、少し話できないかな」

声のボリュームを落としてそう言った私に、跡部くんは何事か感づいたみたいだった。
彼は周囲の様子をちらりと確認すると、樺地くんに二言三言伝言を残して、人気のないロッジの離れについてくるように言った。

「で、なんだ。気になることって」

「その…この遭難って…本当に事故なの?」

「…どういう意味だ。何が言いたい」

「これって、仕組まれたものじゃないの?」

「…何故、そう思う」

私の言葉に一瞬目を見開いた跡部くんの様子からして、私の考えは当たっているようだ。
となると木手くんの疑念もそう間違いではないことになる。
彼の勘の鋭さに賞賛を送りたい気持ちになった。

跡部くんに自分の思う所を挙げていったところ、彼は途中でそれを遮って、この遭難事態が合宿の一環として計画されたものであることを認めた。

「それで、よもやこの事を誰かに話したりはしてねぇよな?他のやつらにバレていたら、この合宿の意味がなくなっちまう」

「誰にも言ってないよ。けど…」

「けど?」
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