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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第6章 距離



彼らがこちらの集団に馴染むつもりはさらさらないのはよく分かったが、それでも全く接点を持たないというのはどうだろうか。
右も左も分からない島で3人だけで孤立してしまうのはよくない。

私はなんとか彼らが他の子達と接点を持てるように、橋渡しをしようと思った。
なんとかそれらしい理由を頭の中でひねり出し、彼らの元へ急ぐ。

海辺から離れたロッジの前に、彼らの姿を発見し、小走りで近づく。
私の足音に気づいて3人がこちらを見やった。

「やはり、来ましたね」

「そりゃーちゅーさやんやー。(そりゃ、来るだろう)くぬ人、永四郎んことでーじ気に入ってるみたいやっさー(この人、永四郎のこととっても気に入ってるみたいだし)」

「やー(あんた)も物好きだなぁ」

「…それで、何の用ですか?」

木手くんがいつものように呆れたような声で言うと、そばにいた2人が小さく笑う。
さっきの小走りで少し息があがってしまって、木手くんの問いに答えるのが遅れた。
ため息をつきながら、木手くんが水の入ったペットボトルを差し出してくれた。

「あれくらいで息があがるようでは、この先不安ですね」

チクリと嫌味も忘れないところが木手くんらしい。
けれどさりげなく水をくれるあたり、やはり彼は優しい子なのだと思う。
ありがとう、とお礼を言って少しだけボトルに口をつけ、口をつけたところを軽くぬぐって木手くんに返す。
息を整えて小さく深呼吸をし、木手くん達の目をしっかりと見据えて言葉を発した。

「…あのさ、ミーティングだけでも出たらどうかな?情報共有はしといた方がいいんじゃないかな、と思うんだけど」

「必要あるかぁ?」

甲斐くんと平古場くんが顔を見合わせて、木手くんへと視線を移す。
ふむ、と何事か思案している木手くんが口を開く前に再び私は言葉を発した。

「ここは沖縄に近い環境かもしれないけど、沖縄じゃないでしょ?危険なところだってきっといっぱいある。君達だけじゃ調べきれないこともいっぱいある」

「まぁ確かに、あなたの言うことも一理ありますね。…分かりました。ミーティングには参加することにしましょう」

木手くんの言葉を聞いて、甲斐くんと平古場くんも「分かった」と返事をしてくれた。
ない頭を使ってひねり出した理由に、すんなりと木手くんが乗っかってくれて助かった。

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