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ニライカナイで会いましょう【テニプリ/木手】

第6章 距離



「あ、ありがとう…気が利くね、木手くん」

「…ちょうど水を汲んできたところだったのでね」

それだけ短く答えると、木手くんはその場から離れていってしまった。
そっけない彼の背中を見送って、コップの水を一飲みする。
やっぱり根は優しい子なんだ。
小さな彼の優しさに触れて、心が温かくなるのを感じた。

「あいつと仲いいのか?」

私と木手くんのやり取りを傍で見ていた宍戸くんが、怪訝な顔で尋ねてくる。

「うーん、どうだろう?でもちょっとだけ、心を開いてくれてる、のかな?」

「あんまり深入りしない方がいいんじゃねぇか?最初から敵対心剥き出しの奴らだぜ。なんかされたら…」

「大丈夫だよ。木手くん根は優しい子だから」

ふふ、と笑う私に、宍戸くんは同意しかねる、といった顔で首をひねっていた。




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夕食を取り終え、そのまま食堂で会議の続きが始まった。
食料や燃料、水等の毎日必要になるものをローテーションを組んで集めることになったが、それを承諾しない集団がひとつあった。

「今日はやむを得ず協力しましたが──」

そう言いながら木手くんが私をちらりと見やる。
彼の視線には、私への嫌味ともとれる彼の思いが込められているようだった。

「明日からは勝手にやらせてもらう。君達に協力はしないし、もちろん俺達も君達の協力を必要としない。」

「木手、いい加減に…!」

木手くんのその発言に、あちこちから憤った声があがる。

「勝手にしろ」

跡部くんがそう吐き捨てるように言うと、比嘉中の子達は勢いよく立ち上がって黙って食堂から去って行った。
立ち去る木手くん達と目があったが、すぐにふいっと逸らされてしまった。
遠のく彼らの背中を何とも言えない表情で、みんな見つめていた。

「跡部…いいのかい?」

幸村くんが少し心配そうに跡部くんに尋ねると、跡部くんは軽く首を振って返事をする。

「…今はとりあえず様子を見る。あとで俺が話をつける」

「あまり時間をおかない方がいいと思うよ」

「ああ。…ひとまず、会議を続ける」

跡部くんが場を静め、その場を取り仕切り、会議は比嘉中の子達がいなくなった後はすんなりと進行した。
会議が終わり、私は足早に比嘉中の子達の元へ向かった。
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