第12章 I miss you〜SJ〜 6
「俺は…しょーくんが、好き。でも……ごめんなさい…」
「それは、何に対するごめん?」
「誰より好きって言っておきながらニノにもいい顔して……そんな想い、信じて貰えなくて、当然だし…こんなズルい俺をしょーくんが許してくれている事自体…ありがたい事で。だから」
「くそっ!」
俺の言葉を遮る様に、翔君がソファーの背もたれを殴った。
「ご、めん…なさい。おれ…ごめっ」
翔君の強張った、苦しそうな顔。
そんな顔をさせているのは…俺。
俺を選んで後悔しないか
なんて翔君が言ったセリフは、それは翔君じゃなくて、俺のセリフなんだ。
溢れそうになる涙を必死に堪えてギュッと目を瞑った瞬間、温かい腕の中に抱き締められた。
「違う、お前を責めてんじゃなくて…ニノにあんな風に言ったクセに、俺は結局プライドを捨てきれてなくて、お前を笑顔にする事もできなくて……そんな自分にムカついただけだ」
「しょーくん…」
「それでも……お前が、好きなんだ。お前ん中を俺だけでいっぱいにして、俺しか見えない様にして、俺だけを…愛する様に…」
俺の上にポツリと雫が落ちてきた。
「ニノみたいに、お前の選択を、俺は応援できない。お前が俺以外を見るって言ったら、愛するって言ったら……お前を閉じ込めてでも、俺だけのものにしてしまうだろう。そんな自己中な愛で…俺はお前を幸せにはでき」
「できるよ!」
翔君の独り言の様な言葉に被せてそう叫び、抱き締められていた腕から顔を上げて、反対にその頭を抱き込んだ。
「もうしょーくん以外、見ない。しょーくん以外と口をきくなって言ったら、そうする。ニノとだって、もう喋らない様にする」
「そんな事、できないし…させらんねーよ」
「だってそれは、しょーくんが俺を独占したい、って事でしょ?」
あの頃、俺が抱いていた疑問。
本当に、俺のことが好き?
本当に、俺が必要?
あの頃、俺が求めていた想い。
もっと、言葉にして欲しい。
もっと、側にいて欲しい。
もっと、俺だけを見て欲しい。
翔君の気持ちを信じることができなくて…
いつも自分ばかりが求めている気がして…
大好きだけが空回りして…届かなくて…歯がゆくて…
だから…
(俺だけのものにしてしまうだろう)
そんなの、喜びしか…感じないよ。