第12章 I miss you〜SJ〜 6
冷静なフリができたのも、部屋に入るまで、だった。
ここまでだって、冷静なフリができていたかも、分からなけど。
玄関に入ってドアが閉まった瞬間に掴まれた腕が熱くて…
そのままリビングの中に入って、ソファーまで引きずられるように着いてって…
押し倒されながら合わさった唇は少し乾いていて…
とても熱くて…
でも…翔君の唇…で…
「潤…じゅん……」
「しょ、ぉくん」
抱き締めている相手が俺だって確かめる様に口付けの合間に何度も名前を呼ばれ…
答える度に深くなっていく口付けに、胸が熱くなって…
だって…
この唇も……久しぶり、だから。
この前、この家に来た時、唇には触れなかった。
まだ触れる資格はないって思っていたし…
だから…この唇に触れるのは、別れてからは初めてで…
もう二度と触れられないって思っていた分、翔君とのキスは数倍の喜びとなって自分に返って来た。
「すき…しょーくんが……すき…」
「誰より?」
「んっ…ふっぁ……だ…れ、より……だ、よっ」
問いかけたクセに、答えようとしたら唇で答えを奪われて…
それでも伝えたいから、繰り返される口付けの合間に必死で言葉を紡ぎ出す。
「ズルい、よな…」
「な、に…?」
「お前より……絶対、俺の方が、お前を好きだろ」
ようやく唇が離されて…
俺を見詰める翔君の目は切なげに細められていて…その目を見て、胸がギュッと締め付けられる。
「本当に、俺を選んで後悔しないのか?」
いつもは迷いなく強く前を見据えている眼差しが、不安げに俺を映していて…
そう…だよね。
翔君を好きだって言ってるクセに、こんな風にニノと二人で会って…
あれこれ言い訳したって、ニノにもいい顔をしたいだけだ、って取られても仕方なくて。
いや…
仕方ない、じゃない。
実際そうなんだから。
翔君を選ぶけど、でもニノにも嫌われたくないそれはメンバーだからってだけじゃなく…
甘やかしてくれるニノの存在が、その隣が心地よいから。
失いたくないから。
ニノが言うように…
翔君が言うように…
俺は、やっぱり、ズルい。