第11章 I miss you〜SJ〜 5
「潤くんは、本当にズルいね。そんな風に言って、もし俺がもう一度体の関係を迫ったら、どうするの?」
「カズは、したいの?」
「どう思う?」
「俺の想いはしょーくんにあるから、だから、俺はもうカズに抱かれるわけには、いかないんだけど…」
もしカズに抱かれたいって言われたら…
「カズ…おれやっぱりしょーくんが、好きで…」
「知ってるよ……知ってたよ、そんな事ぐらい」
ニノの顔が切なそうに歪む。
「ごめん、カズ」
「そうだね、潤くんは俺に謝らなきゃなんないぐらい、ズルいよ」
「うん…おれはやっぱり…ズルいよ。でも…この気持ちがしょーくんに届いたからいってるんじゃなくて…やっぱり、どうしたって諦められないってきづいて…だから…」
酔いで纏まらない思考。
でも…
自分が酷いって事だけは分かって…
でも、どうすればいいか分からなくて…
「泣かないで、潤くん。素面の潤くんから最終通告を聞きたくなくて、こんな風に酔わせたのは、俺だから。俺だって、十分ズルいんだよ」
「そんな…カズは、何も悪くない」
「潤くんを酔わせて、家に連れて帰って、ヤっちゃおうかとも思ってた。酔っ払った潤くんは無防備だって、知ってるから」
でも、そう言って笑うニノの目は切なげに笑ってて…
きっとそんな事は、できないって分かっている目で…
「潤くんが好きで…だから、潤くんの心が…潤くんだけじゃない。翔さんの心がどこに向いているかも分かっていたのに、ズルい事を、したんだ。あの日だって…楽屋で潤くん、不自然すぎるんだもん。バレバレだったよ?だから…意地悪、した。俺が翔さんの代わりになれるわけないって事も、分かっていたのに…ね」
「でも……カズは…たくさん俺を助けてくれたよ。カズがいたから、しょーくんとも、向き合えた」
「だからもう俺はお役御免でいいんだよ。俺の事は気にしないで、大好きな人のところに帰っていいから」
そう言って笑ったニノに、堪らず抱きついた。
だってその目には涙が限界まで溜まっていたから。