第10章 back again〜SNJ〜2
「好き、だよ。でも…カズも、好き。そこは、譲れない。だから…しょーくんにはむ」
「勝手に決めんなよ」
そんな関係は翔君には無理と言おうとした俺の言葉を、翔君の怒りを含んだ声が遮った。
「ニノは信じんのに、俺は信じないのかよ。俺だって……俺も、譲れねーんだよ」
「譲れないってなに?ハッキリ言ったら?てか、信じられるわけないし〜」
「お前は黙ってろ」
俺の肩越しにニノを睨みつけた翔君。
「だって、潤くんは優しいから文句なんて言わないじゃん。今まで散々好き勝手した翔さんの事を責めることもなく、何なら自分が悪いんだから、ぐらい言いそうだし。だから、譲れないとか、んな中途半端なセリフで潤くんに受け入れて貰おうとか思わず、ちゃんと言ったら?」
「うるせーよ。潤はな、こんな俺が好きなんだよ」
「だから、一度は俺を選んだんでしょ」
ニノの勝ち誇った様な笑顔に、翔君の顔が強張る。
何なんだろう…この状況は。
大好きな二人が…多分、これは、俺を取り合ってて。
選べない俺が悪いんだし
どっちも好き
とか、そんな事許して貰えるわけないのに、こんな風に受け入れて…受け入れようとしてくれてて…
「ほら、あんたが言わないから潤くんが泣いちゃったじゃん。大丈夫だよ、この人が何て言おうと、俺は潤くんだけが好きだから」
「お前なにひとり格好付けてんだよ。泣くなよ、潤。俺も、お前を手放す気はないし」
「はぁ?あんたどこまで自分が偉いと思ってんの」
「お前みたいに、甘い言葉をダラダラ垂れ流せねーんだよ」
「これだからお飾りの頭は。もっと」
「こんな俺の…どこが、いいの?」
延々と続きそうな二人の会話に俺が割って入ると、驚いた様な二人の目が一気に俺に集まった。
「二人とも好きとか、そんなの言う権利もないのに。ニノが言ったように、二人とも魅力的で…だから、こんな中途半端な事しか言えない俺の側にいる必要も、ないのに」
「確かに、そうだな。俺だけを選ばないとか、二股とか、ありえねーよ」
そう言ってニヤリと笑った翔君。
でも、次の瞬間…その顔が苦しげに歪んだ。