第10章 back again〜SNJ〜2
涙を流すニノが愛しくて、苦しくて…
「…お願い、カズ。この手、取って?じゃないと、カズを抱き締められないから」
「ん…」
涙を流したまま頷いたニノが、俺の手を拘束していたものを外してくれる。
自由になった手をそのままニノの首に回して、その頭を引き寄せる。
「大好きだよ」
「うん…」
こんな事しなかったら、俺は自分の想いなんて受け入れずに、ニノだけを愛していたはず。
でも、俺の僅かな想いを察知して…そして翔君の想いにも気付いて、俺のために動いてくれた。
「ありがとう…カズ」
「お礼なんて……違うよ…」
涙に濡れた声でニノが呟いた。
「お礼なんて、言っちゃダメだよ。だって…ただ、怖かっただけ、なんだから。潤くんが…自分の想いを自覚して、俺から離れてっちゃうのが怖かったから…だから、先手を打っただけで…だから、そんな風にお礼を言って貰える様な、純粋な、潤くんを思ってじゃ、なかったから…」
嗚咽交じりに、声を振り絞ってそう言うニノを、更に強く抱き締める。
あぁ…
また俺は、どれだけニノを不安にさせて、傷付けたんだろう。
「カズ…好きだよ…」
「うん…俺も、潤くんが、大好き。だから…俺だけを見てなんて、言わないから…側にいて?」
笑って顔を上げたニノに触れるだけのキスをしたら、その顔がようやく笑顔になった。
「おい…」
次の瞬間、地を這う様な低い声が聞こえた。
「俺を無視してラブラブオーラ出してんじゃねーよ」
「あっ」
その言葉と共にグッと肩を引かれ…
合わさった唇から翔君の舌がねじ込まれた。
久しぶりに感じる、強引で、奪う様なキス。
でも…
そんな風に無理矢理奪っているくせに、その目の奥は揺れていて…
俺の中を探る舌も、どこか不安げで。
それはまるで生きるために必死で母親の乳を吸う赤ちゃんみたいで…
目の前にニノがいるのに、その唇を拒否する事ができない。
「お前は…俺も、好きなんだろ?」
そんな風に言いながらも、あの時と同じ、すがる様な…不安げに揺れる目。
翔君のその目は…
やっぱり、狡いよ。