第10章 back again〜SNJ〜2
「自分だけを愛さないなら無理とか、その程度の覚悟なら、あんたが身を引けよ。潤くんは、俺も、あんたも好きなんだよ。同じぐらい大事で、俺たち二人を想って泣いてくれんだよ。本気で潤くんを好きだって言うなら、必要だって言うなら、今まで好き勝手した分今度はあんたが広い心で受け入れろよ!」
「カズ、しょーくんは、悪くないから…」
悪いのは俺で…
ニノを選ぶって決めたくせに、翔君を諦められないとか、そんな勝手、普通受け入れられるわけがない。
「ニノだって、怒っていいんだよ…俺は、ニノを愛するって言ったのに…一番だって、大切だって、言ったのに…」
「潤くん。だってさ、俺と翔さん、違う人間なんだもん。しかも、二人ともアイドルよ?二人ともに惚れたって、当然じゃん」
そう言って笑ってウインクするニノに、また涙が溢れ出す。
「何で…そんなに優しいの?俺を責めてもおかしくないのに……何でそんなに俺を肯定して、受け入れてくれるの?」
「それは、潤くんが好きだから。理由なんて、もう分かんないんだ。ただ、失えないなら…全部受け入れるしか、ないでしょ。潤くんを失うぐらいなら、俺は何だって受け入れるよ」
最後の方は、翔君を見据えて言ったニノの視線を受けた翔君が、一度強く目を瞑った後、勢いよく立ち上がって、こちらに近付いてきた。
「潤」
「は、い…」
「もう、俺だけは、選べない?俺が…お前を愛してる、って言っても、俺を選べないか?」
真剣な翔君の目。
ここで
選べない
って言ったら、翔君は去ってしまうかもしれない。
でも…
「ごめん、しょーくん…俺には、選べない」
「なら、俺には無理だ、って…言っても?」
視界に映るニノの手に力がこもるのが見えた。
「うん、無理。俺には…カズが必要なんだ。カズと別れてしょーくんに戻っても、もう俺の心は、幸せには、なれないから」
「潤くん…」
ずっと溢れる事はなかった涙が、ついにニノの目から、溢れ出した。
俺の気持ちに気付いて…
俺を想って…
でも、ニノの心は傷付いて、そして俺が翔君だけを選ぶ不安に震えていたんだよね。
カズ…
俺はね、そんなカズを無くしたら、翔君とだって、幸せにはなれないんだ。