第8章 声を聴かせて〜NJ〜 3
「うそ…だよ…」
何をどう言ったらいいか…
何をどう伝えたらいいか…
本当に、今までどれだけニノに甘えていたんだろうって…
もう何度思ったか分からない事を考えていたら、呟くような小さな声がニノから聞こえた。
「ごめん…ウソ。いい…信じられなくて、いい…から…だから…」
呟くニノの声に、涙が混じりだす。
「お願い…ウソでもいいから…側に、いて。今まで通りで、いいから。2番目でいいから…翔さんより愛してなんて、望まないから、さ」
「ニノ…」
「ダメ、なんだ…もう、諦めよう、って…やめようって、思ったのに……無理なんだ。潤くんがいないと…息の仕方すら、忘れそうなんだ。好きだから…潤くんが…大好きだから…」
ニノの悲鳴のような声に溢れ出した涙が、ニノの首筋にボタボタ落ちて…
同じ様に、前に回した俺の手にも温かいものが落ちて来て…
もう…どうしようもなく、この存在が、愛しくて…
「ニノが信じられるまで…ニノがもう要らないって言うぐらい、好きって伝え続けるから…ニノが一番だって。誰より何より大切だって…そう、伝え続けるから…だからお願い…ニノの側に、いさせて」
「じゅん、くん…」
振り向いたニノに強く抱き締められて…
その温かい腕に包まれて、更に涙が溢れてくる。
あぁ…
いつの間にか、この腕の中が俺にとって一番安心できる場所になってたんだ。
「俺は…耐えられる、よ?潤くんを失うぐらいなら…無理させるぐらいなら…翔さんへの想いごと、受け入れるから。自分で言った言葉通り…もう、どんな関係でも…諦められないって…思い知ったから…」
(好きなら諦められなくて当然だし、その人と一緒にいるチャンスがあるなら、たとえそれが周りから見たらどれだけ馬鹿な関係だろうと、やめといた方がいいって思う関係でも、やめられないのは当たり前だし)
暫く俺を抱き締めた後、顔を上げて溢れる涙を拭いながらそう言ったニノの目は、そんな風に涙を溢れさせながらも、俺の選択を受け入れるっていう覚悟を湛えていて…
本当に…
こんな俺を、どうしてそこまで受け入れて、愛してくれるの?
そんな真っ直ぐな愛を注がれて…
その存在を愛さないわけ、ない。