第7章 I miss you〜SJ〜 4
「俺だって…自分がお前をそこまで追い詰めてるって事に、気付けてなかった。お前の俺への愛の上に胡座かいて…結局、甘えてたんだ」
「そんなこと…」
「何をしたって、お前は俺から離れないって、そう思って傲慢になっていたんだよ」
そう言って伸ばされた手が、俺の頬に添えられる。
「お前が幸せになれるなら…それでいいと、思っていた。俺は、どうしたって上手に愛せないから…お前を幸せに笑わせる事ができる奴が現れたら…その時こそは、あきらめようって思っていた」
「じゃあ…俺がニノを選ぶって言ったら…諦めるの?」
「諦められると思ってた、それがお前の幸せなら。でも…無理だよな」
俺の頬に添えられた手がギュッと握られた後、後に回され…
次の瞬間、布団を上げた翔君の胸に引き寄せられた。
「お前の幸せを思っても…ごめん、やっぱ引けない。お前を…どうしようもなく、愛してる」
「しょ…ぉ、くん…」
あの頃ですら、抱き合って昂まった時の睦言ぐらいしかなかったそのセリフ。
こんな…たとえ熱があるって場面でも、言ってもらえるとは、思っていなくて…
嬉しくて…
「俺も、好き…ずっと、好き…大好き、しょーくんが、苦しいぐらい、好き」
返事の代わりに頭に添えられた手に力がこもって、更に頭を強く胸に押し当てられる。
そこから聞こえる鼓動はドクドク早く脈打っていて…
冷静さなんか全くない、翔君の心を伝えてくれる。
「……あの頃も…そうだった?」
「ん?」
「あの頃も…こんな風に心臓が高鳴るぐらい、俺が好きだった?」
「あの頃は…」
一瞬言葉に詰まった翔君は、何かを考えるかの様に俺の頭に置いた手をゆっくり動かした。
それは、翔君の昔からの癖。
言いにくい事を言わなきゃならない時とか、何か考え事をする時、こんな風に俺の頭を撫でたり、髪を弄ったりしていた。
やっぱり…
あの頃は、俺の片想い、だった?
「お前と初めてキスした時や、お前を初めて抱いた時とか…超絶ドキドキした事を、覚えてる」
「俺から迫ったのに?」
「それがたとえ可愛がってた奴でも、好きでもねー男に迫られて受け入れるかよ」
お前だったからだよ…
聞こえるか聞こえないかのボリュームで言われたその言葉は、確かに俺の耳に、届いた。