第7章 I miss you〜SJ〜 4
あの時はただ翔君に受け入れてもらう事だけに夢中で…
翔君の想いがどこにあるかなんて、それが自分にあるかもなんて、思いもしなかった。
そう結局…
愛されたい、愛されたい
って思っていたくせに、翔君を、翔君の想いを信じていなかったのは…俺なんだ。
「でも…そのドキドキがずっと続いてたって言ったら、嘘になる。お前にキスするのも、お前と抱き合うのも…慣れていく度に、それが当たり前になっていって…お前があの時言った様に、会っても喧嘩ばっかになってきた時、その関係すら、面倒になってた」
(疲れている時に癒し合えない関係なんて、最悪だもんね。面倒な事を言わない、ただヤレる関係の方が、まだマシだよね)
「だから、お前がキレて飛び出した時、正直…もういい、って思った。思ったのに…お前が居なくなっただけで空っぽになった気がする部屋を見回して、ここにもう二度とお前が来ないって考えたら急に怖くなって…追いかけた時には、お前の姿なんて、どこにもなくて…」
こんな風に、素直に胸の内を語ってくれるのも、初めてで…
語られる内容は、胸に痛い部分もあるのに、でも、その事実が嬉しくて…泣きそうになる。
「失うまでその大切さを気付けない、ただのガキだった。でも…俺を避けるお前に謝って、戻ってきてくれって言うのは……俺のプライドが、許さなかったんだ」
「もぉ…いいよ…」
振り絞る様にそう言った翔君は…
そんな胸の内を俺に語るなんて事、よしとしない人で。
でも、俺のために、そんな自分の信条やプライドを捨てて…
もう…それだけで十分、だから…。
「しょーくんじゃ、ない。俺が、ガキだったんだ。求めるばっかで、好きって気持ちだけで、しょーくんに何もあげられもしないのに」
「違う、俺が…」
「じゃあ!」
翔君の手をおしあげてその胸から顔を上げて、強く翔君の言葉を遮った。
きっと…
過去を悔やんだら、俺たちはお互いに後悔で埋め尽くされるだけだから。
だから…お互いに、あの頃を後悔しているなら…
「もう一度、始めさせて?もう一度、こんな俺で良ければ、しょーくんの側に、いさせて」
「それは……俺が言いたかったセリフ、なのに…生意気になって…さ」
そう言った翔君の目は、でも笑っていて…
だからもう一度、ここから…
始めさせて?