第6章 I miss you〜SJ〜 3
「しょーくん、寝てていいから、着替えよう、ね」
「ん」
「でも、体吹いた方がいいから…もうちょっと待ってて」
お湯をお風呂の桶に汲んで持ってきて、シャツを脱がせたその体を、タオルを何度か濡らしながら拭いていく。
「上はオッケー。腕通して…ちょっとゴロンっていけるかなぁ…うん…」
ほとんど動けない翔君に声をかけながら体を動かして、パジャマの上は何とか着替えさせて…
「ズボンも、着替えさせていい?」
「あぁ…拭くのは、いいから…」
「…うん…」
布団を上に捲り上げて、下着ごとズボンを引き抜いた。
変に意識するからダメなんであって…
これは、看病のためなんだから、どうこう思うのはおかしいんだ。
足にはあまり汗はかいてないから、翔君の言う通り拭きはせずに新しい下着とズボンを履かせて…
シーツも替えたいけど…
「しょーくん…ちょっとだけベッドから降り…ちょっとだけ、ごめんね」
「うぉっ」
苦しそうな翔君に起きてもらうのはやめて、布団だけ退けてタオルケットごとその体を抱き上げた。
きっと
抱き上げてソファーに連れてく
なんて言ったら、無理してでも翔君は起きちゃうだろうから。
暴れる元気もないようで、声を上げはしたものの、そのまま大人しくなった翔君をソファーに下ろして、シーツとタオルケットを新しいものにして、シーツの上の部分にバスタオルを敷く。
これで多少汗かいても大丈夫だし…
もう一度ベッドメイクを点検し、ソファーに翔君を迎えに行く。
足を伸ばして寝るには少し狭いそのソファーの上で、体を縮こませて目を瞑っている翔君は、まるで巣の中で丸まっているリスみたいで。
こんな姿も…見た事はなかった。
あの頃の俺は、翔君の何を見ていたんだろう。
「しょーくん、お待たせ」
「ん」
もう一度その体を抱き上げて綺麗になったベッドへおろし、その額に冷えピタを貼ってあげると、翔君はホッとしたように深い息を吐いた。
「ゆっくり…寝て」
「あぁ…ありがとう」
そう返しつつも、ぼんやりと俺を見る目は閉じなくて…
「あっ…ご、めん。勝手に入って来て」
ここまで色々人の家を漁ってからの謝罪に、自分でも
今更?
と思ったが、焦った俺を見て翔君は緩く笑うと、小さく首を横に振った。