第6章 I miss you〜SJ〜 3
「ストローで飲めるもの、買ってきたから」
翔君の体をベッドへと寝かせ直すと、途中で寄ったドラッグストアで買った経口飲料水のストローを、翔君の口元へと充てがう。
素直にそれをチュルチュル吸い上げながら、翔君がボンヤリと俺を見つめるから、それに応えるように手のひらをその額へと持っていく。
「…熱いね…冷えピタ、貼ろうか」
俺の言葉にコクリと頷いた翔君に笑いかけて、一緒に買っておいた冷えピタをそのおデコに貼ろうとして、翔君が汗だくな事に気付いた。
「その前に、汗拭こっか。タオル、濡らしてくるから」
タオルを取りに行こうと立ち上がった俺を、不安そうに揺らめく翔君の目が捉えた。
翔君のそんな顏見たこともなくて…
付き合っていた頃の翔君は、いつも自信満々で、俺を手のひらの上で転がしていた。
俺なんか、いてもいなくても一緒じゃないかって、そんな風に思ってしまうぐらい…
付き合ってくれているのは、俺が無理矢理迫ったからで…翔君はそこまでの想いがないから、そんな余裕でいられるんだ、って思っていたし…
だから、それが熱があるための表情だったとしても…
頼りなく、不安げに揺れる表情をする翔君が、とんでもなく愛しくて…
苦しい程、愛しくて…
その額に口付けた。
「直ぐに戻ってくるから…待ってて。寝てても、いいから」
俺の言葉に頷いて目を閉じた翔君の髪をゆっくり撫でてから、俺はタオルを濡らすために部屋を出た。
タオルを濡らして戻ると、翔君はうつらうつらしていて…
それで顔を拭いてあげると、ホッとしたように柔らかい息を吐いた。
「しょーくん、着替えてないじゃん」
首元まで拭った時に見えたのは、今日翔君が打ち合わせの時に着ていた服の襟。
マネージャーがパジャマに着替えさせなかったのか、って舌打ちしそうになるのを堪えて、翔君の体を冷やさない様にそっと布団の中へと手を入れる。
案の定、その中は湿っていて、シャツも体に貼り付いていた。
「これは、気持ち悪いよね…着替え…」
場所を変えていなければ…
クローゼットを開けて、目当ての場所を探すと、あの頃と同じ場所にシーツや翔君の部屋着やパジャマが雑多に詰め込まれていた。
変わらないそれが嬉しくて…
それに…