第5章 I miss you〜SJ〜 2
「翔さん立てる?ほら、相葉さん、手伝ってよ。とりあえず部屋まで戻んないと、帰る準備もできないでしょ」
「そうだそうだ、ごめん、翔ちゃん。俺が支えてあげるから、部屋まで戻ろ」
「ん、ごめん」
スタッフから軽い確認を受けている間、そんな会話が繰り広げられ…
普段ならそんな事絶対に頼まない翔君だけど、本当に限界だったんだろう。
相葉君に支えられて立ち上がり、フラフラするのを助けて貰いながらミーティングルームを出て行った。
「…じゃあ、ここはこんな感じで、技術班に確認しておきます。ちょっと時間がかかりそうだから、早めに確認取って動いておこうと思って…お疲れのところ呼び止めてすみませんでした」
「いや、ありがとう。よろしく」
立ち話で数分程度だったけど、荷物部屋に戻った時には、既にそこには翔君の姿はなかった。
「翔さんなら、マネージャーが病院連れて行ったよ。他の二人も、車まで見送りがてら帰ったし」
「……そう」
俺の表情から知りたい事を読み取ったニノが、俺のカバンを掲げてそう報告してくれる。
「潤くんも、帰ろ。昨日…あんま寝てないでしょ、クマ、酷いよ」
「…ニノだって、じゃね」
「クマ兄弟ですね」
そう言って笑うニノからカバンを受け取ろうとしたら、そのまま腕を掴まれた。
「やっぱり…昨日、格好付けずに潤くんちに泊まるんだった。もうこのまま潤くんを失っちゃうような気がして…怖くて、眠れなかったんだ。お願い…今日は一緒に寝てくれない?」
「そ、れは…」
元々色白のニノの顔色は、色白を通り越して青白くなっているし…
更にそれで不安そうに瞳を揺らしているニノを見たら…頷きたくなる。
だって…
俺がそんな表情をしていた時、側にいてくれたのは、ニノだったから。
(今日も、しょーくんと上手く話せなかった)
(視線が合ったのに、逸らされるのが怖くて逸らしちゃった)
(もう…しょーくんも、俺の事なんて好きじゃないよね)
(何であの時…あんな事、言っちゃったんだろう)
そんなバカな泣き言を繰り返す俺に、説教するでもなく、ただ優しく側にいてくれたんだ。
だから、こんな目をしているニノに
一緒にいるのは無理
なんて…言えないよ。