第4章 I miss you〜SJ〜
「え?潤くん、泊まっていかないの?」
「うん…明日もあるし、今日は帰る」
「でも、明日はライブの打ち合わせでしょ?この間置いてった着替えもあるし、こっから行ったって大丈夫じゃん」
「でも…持ってきたい資料もあるし…やっぱ…帰るわ」
何度も高められて、散々欲望を吐き出して…
全てを吐き出した俺に残ったのは…結局…
「潤くん……今も、俺に言ってくれる?」
「え?」
「素面でも…さ、俺に好きって、言える?」
いつもは飄々としているニノの顔が、今にも泣き出しそうで…
まるで置いていかれるのを恐れる子どもみたいで、それがどこかで見た事がある様な顔で、胸が苦しくなって…どうにかそれを笑顔に変えたくて、俺は笑って頷いた。
「うん…好きだよ」
「翔さんよりも?」
間髪入れずに返された、予想もしなかったその問いに、俺は答えに詰まった。
「ププッ、意地悪言ってみただけだよ。潤くんのその顔〜答え聞かなくても丸分かりだよ?」
「そんな事…ないよ」
「じゃあ、帰らないでよ。俺の方が好きなら、ここで俺の事だけ考えて、一緒に眠ってよ」
また真顔になったニノにそう言われて…
「ごめん…」
「やだなぁ、これまたニノちゃんの意地悪よ?ライブを潤くんが大切にしているのは分かってるし。でも、じゃあせめて送らせて?雨も降ってるみたいだし」
「うん、じゃあお願いする」
俺の答えに
かしこまりました
と深々と礼をしたニノに、精一杯の笑顔を向けた。
「潤くんごめん…トイレだけ貸してくんない?すぐ帰るから」
「ふふっ…いいよ。送って貰ったんだし、コーヒーぐらいは出すって」
「でも、それじゃ結局邪魔しちゃうし。オシッコしたらすぐ帰るから、ヤバいヤバい」
俺の後をおずおず着いてくる姿は、さっきまでベッドの上で俺を翻弄していた人とは全くの別人で…
そういう色んな顔を持つところが、色々な人を惹きつけるんだろうな、って思う。
「ふふ、どうぞ。漏れなかった?…えっ…」
ニノを中に促そうとして…そこで俺は固まった。
な、んで…