第4章 I miss you〜SJ〜
「あー美味しかった」
「ちゃんと野菜も食べて、偉かったね」
「潤くんが作ってくれるなら、何でも食べるよ」
「魚でも?」
「う、ん」
俺が作ったものをキレイに完食したニノにちょっと意地悪を言いつつも…
俺はポケットに入れたスマホが気になって落ち着かなくて…
後かたずけはニノがやるって言ってコーヒーまで入れてくれたから、ソファーに座って何の連絡も入っていないスマホをぼーっと眺める。
いや…
実際に何の着信も無いわけじゃないけど…
『今日、お前んとこ行ってもいいか?』
楽屋で受け取ったその一文以降、あの人からの連絡は、何もない。
俺とニノのやり取りは聞えていただろうから、そのやり取り自体が返事のようなもので…
俺が家に居ない事も、ニノと一緒にいる事も知ってるから…
でも…今更、何?
俺の家に来て、何がしたかったの?
「潤くん」
「うわっ」
突然首から腕が入ってきて抱き締められて、文字通り俺は飛び上がった。
「びっくりし過ぎだよ」
「ニノが驚かすからだろ」
「なんか…今日は上の空じゃない?何かあった?」
「…別に?」
何でも無いようにスマホをポケットに入れようとして、その手をニノに掴まれた。
「いつもは、うちに来た時はこれもその辺に放置してるじゃん?なんか大事な連絡、来るの?」
「別に…何も無いよ」
「そう?」
軽くそう言って手を離してくれたから、これ以上何か言われない様に、いつも通りに机にそれを置く。
「ねぇ、潤くん…しよっか」
ニノが耳元でそう囁いて、腕から外された手が首の隙間から中へと入り込んで来た。
「んっ…」
「もう尖ってる。いっぱい舐めて…吸って…潤くんを、俺でいっぱいにしてあげるから…」
弱い耳を舐められながらそう言われて、思わず身を捩ったらそのままグッと向きを変えられて深い口付けがおりてきた。
舌を絡める濡れた音だけが部屋に響き、でもその淫靡さに羞恥を覚える間も無く、唇を合わせたままソファーの背もたれを乗り越えて来たニノに押し倒された。
今は…
この快楽に溺れてしまおう。
馬鹿な俺が、また変な期待をしない様に…
目を閉じていた俺は、ニノの手がその瞬間に俺のスマホに伸びて、それを机の下へと滑り込ませた事にも、気付かなかった。