第3章 秘密の花園【東堂尽八】✳︎リクエスト作品✳︎
「東堂くん!!大丈夫ですか!?」
今度こそ鮮明な彼女の声に視界が開けた。
「ッ!!笹原さん!」
ハッと我に返って歩み寄ろうとした足はもつれて
「あっ」
倒れそうになったところを情けなくも抱き止められた。
「、、、あ、、、すまない。その、こんな格好でなんだが、、、笹原さんは無事か?」
「わ、私は大丈夫です!それよりも東堂くんの方が、、、」
「はは、すまない。少し足がもつれただけさ」
彼女の身体から離れて自分で立つと、心配そうにこちらを見上げる彼女と目が合う。
「本当ですか?保健室に行った方がいいんじゃ、、、ッ!!」
そんなに必死に心配をされたら、、、
「、、、保健室?そんなものよりも、、、」
困らせたくなってしまう。
笹原さんの言葉を遮るようにその肩に額を置く。
耳元で彼女の驚く声がしたが聞こえないふりをした。
「そんなものよりも君とこうしていた方が元気になれそうだ」
「えっ!あのっ、、、本当に?」
焦る彼女。
俺を拒むように肩に添えられた彼女の手から徐々に力が抜けていくのがわかる。
まったくどこまで俺を喜ばせてくれるのだろう。
「本当に保健室に行かなくていいん、、、ですか?」
「ああ、、、こっちの方が良い」
まったく厳禁な奴だぜ!
そんな荒北の声がしたような気がした。
「ふふ…やっぱり東堂くんは変わってます」
彼女の穏やかな声が鈴のように耳元で笑った。
「、、、ありがとう」
許されると同時にそっとその腰に手を回すと、ふわりと薫る彼女の香り。
それをゆっくりと吸い込んだまま、意を決して彼女の身体をぎゅっと抱きしめる。
「笹原さん、、、転校するというのは本当なのか、、、?」
「、、、あ、、、あの、、、はい」
腕の中で彼女が縮こまるのが分かった。
「そうか、、、いつ?」
自分でもわかる。
声がうまく出ない。
「夏休み中には、、、」