第3章 秘密の花園【東堂尽八】✳︎リクエスト作品✳︎
東堂くんは、不敵な笑顔のまま騒ぎに集まってきた生徒達を見回した。
「キャッ!東堂様、、、血が、、、」
「東堂様、まさか喧嘩?」
「しかも相手女子だぜ、、、?」
「どういうこと?」
「おい、誰か先生呼んでこいって」
生徒達はヒソヒソと話しながら怪訝な顔でこちらを見ていた。
ドクンと心臓が嫌な音を立てる。
なんとかしないと、、、
なんとかして東堂くんを守らないと、、、
頭を何とか回そうとしても、どんどん目の前は真っ白になっていくだけで。
焦りばかりがただ募っていった。
どうしよう。
どうしたら、、、、っ
「あのっ、、、これは、、、!」
とにかく何か言わないと。
そう思い口を開いた私を、東堂くんの手が遮った。
「大丈夫だ」
一瞬だけこちらを見た優しい微笑みにそう言われたような気がした。
それ以上振り向くことのない背中はいつもよりも大きくて。
「あー、、、ウホン!諸君、驚かせてすまない!」
彼はまるで教室で皆に語りかける時のように話し出した。
「これは全てフェイクだ!!」
「え、、、?」
驚いている私を他所に、その横顔は生き生きと輝いて。
「秋にある学園祭に向けての練習だ!!」
ニヤリと笑うその表情は
「そして彼女達はこの俺の練習相手をしてくれていたのだ。どうだ?迫真の演技であっただろう?」
いつもの東堂くんだった。