第3章 秘密の花園【東堂尽八】✳︎リクエスト作品✳︎
「、、、俺、らしく、、、?」
東堂くんの身体がピクリと動く。
そしてゆっくりと私を引き離して、こう言った。
「俺が、、、俺がもっとも俺らしくいられたのは、あの裏庭で君と話している時だった」
その瞳は妖しく美しく輝いて。
「走り方を忘れてしまい沈んでいたこの俺を、癒してすくい上げてくれたのは君だった」
その顔に落ちる乱れた髪は艶やかで。
「そんなこの世でもっとも大切な愛する女性に犠牲を強いるような俺は、、、」
そう言って笑った彼は
「そんな俺は、果たして俺らしいと言えるだろうか?」
どこまでも不敵だった。
「あの、、、東堂くん?」
あまりの色っぽさにドキドキと戸惑う私に向かって東堂くんは、少し困ったように笑って、私の涙を優しく拭った。
「怖がらせてすまなかった。だが、、、君の為なら何だってできるのは本当なんだ」
呆然とする私の耳元にそう呟いたかと思うと、彼はパッと立ち上がり、壁を背にして崩れ落ちていた彼女達に振り返った。
ビクッと彼女達の身体が跳ねる。
「そんなに怖がられるとは、、、、。まぁー、だがしかし、笹原さんの言う通り、先ほどのやり方は俺らしいとは言えないな!」
その明るい声はもういつもの東堂くんだった。
彼は笑った。
落ちていたカチューシャを拾い上げ、額を伝う血を拭って。
いつもの彼らしく。