第2章 幸せ者【御堂筋翔】
「、、、せやなぁ。ホンマやったらオバちゃんに言わなあかんかなぁ」
「なっ!ななな何をっ!!?」
ププ、また赤くなって、焦ってる、、、。
「僕等、大人になったら結婚しますて」
「え、、、えぇっ!!?そっ、そそ、それは、えっと、どういう、、、っ!」
「何や。やっぱり嘘やったん?」
「ちゃうっ!嘘なんかとちゃう!!って、はっ!!いや、あの、えっと何から話せば、、、」
あーあ、口パクパクさせて今にも卒倒しそうやん。
これはちょっと落ち着かせたらなあかんな。
「もうええよ。充分や」
僕はさっきから握ってた冷たい手を自分の制服のポケットに入れてギュッと握った。
「、、、ッ!!翔兄ちゃん!?」
「、、、僕も、好きやった」
「へ、、、?」
アホみたいにポカンと口を開けて立ち止まる君に、もう二度と離さへんって分かってほしくて。
「僕はユキちゃんのことが好きやから、あれがホンマやったとしても問題あらへん」
まぁ僕はそんなキモいこと絶対に言わへんけど。
「ユキちゃんも僕のこと好き。それでええのん?」
「、、、。はい、、、」
その代わり、ポケットの中の小さな君の手を僕はできるだけ強く、でも君が痛くないようにギュッと握った。
「、、、それじゃ、帰ろか?」
「、、、うん、、、!」
その言葉だけで僕は、幸せ者や。
少しずつ熱がうつっていく君の手の温度で、僕のポケットの中がまた温かくなる。
ただそれだけで。