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恋の話をしよう【弱虫ペダル】短編集

第2章 幸せ者【御堂筋翔】


「、、、あかん」
私はトイレの鏡に映る自分を見て1人呟いた。


「はぁ、、、」
腫れた目をみて思わず溜息が出る。


今日、一体何度目やろ、、、?

今朝はホンマ、翔兄ちゃんが早く家を出てて助かった。
こんな顔見せられへん。
ってゆーか、どんな顔して会えば良かったんや、、、。



「ユキちゃんには似合わへんよ」



今思うと泣くようなことではなかったような気がする。

ちょっと言い方は冷たかったかもしれへんけど、優しい言い方をされる方が珍しい。
ただ単に翔兄ちゃんは疲れてただけかもしれんし、、、。


それやのに泣いてしまうとは、、、。
しかもそれを見られてしまうとは、、、。


「あーもう、、、っ!」


辛抱しようとした。
でも、胸が痛んで、溢れて止まらんかった。


勝手に、期待してた。
興味がないように見えても、何だかんだ気にかけてくれてるんちゃうかって。
私が綺麗になったら、喜んでくれるんちゃうって。
少しは女の子として見てくれてるんちゃうかって。


やのに、、、
今思い出しても泣けてくる。


「翔兄ちゃん、、、待ってるやろか、、、?」


窓を見ると外はだいぶ暗くなっていた。
いつもの時間を過ぎていることは分かっていたけれど、情けなくて恥ずかしくて、


もしかしたら愛想つかされて、もう一緒に帰ってくれへんかも、、、



それを確認するのも怖くて、トイレに閉じこもっていたのだ。



「、、、あかん!帰ろ!!」
パンパンと頬を叩いて自分を奮い立たせる。


いつまでもこんなとこにおられへん。
、、、いつかは帰らなあかんのやし。
帰ったら、どうせ顔合わすんやし、、、。



そう思うとまた泣きそうになりながらも廊下に出た。
すると


「あ、、、」


「お!ユキちゃん!偶然やなぁ!今、帰り?」



廊下を出たところに、安本がいた。


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