第2章 幸せ者【御堂筋翔】
正直、僕は手を焼いてる。
「翔兄ちゃーん!」
この義妹が恥じらいというものを知らんから。
ほら、そんなに大きな声を出して手ェ振ったら、皆に見られるやろ?
せっかく僕が目立たんように校門の陰に隠れてる意味がなくなるやないの。
ちょっとは空気読んでよ。
「、、、なんや、今日はちょっと遅かったね」
僕は不機嫌に言った。
だって目立ってしまったら、、、
ほら、聞こえるやろ?
「なぁなぁ、あれってユキちゃん?あの人と帰るんかな?」
「あぁ、あれユキちゃんのお義兄さんやで」
「なんやぁ。彼氏かと思ったわ。けど全然似てへんなぁ」
「あぁ、ちょっと訳ありな親戚?かなんかで、一緒に住んでるんやて」
「へぇ、それでかぁ。それ知らんかったら正直、、、ちょっと、、、なぁ?笑」
「ってか一緒に帰るんや!」
あーうるさ。
たしかに僕とユキちゃんとは違うよ。
けど、お前らみたいなザクにとやかく言われる筋合いはないわ。
「ごめんな!ちょっと知り合いに捕まっててん。けっこう待ってた?翔兄ちゃん」
あーもう。
その上目遣いやめてや。
そんな顔されたらまた文句言われへん。
僕はユキちゃんから目を逸らして言った。
「、、、全然。それじゃ、帰ろか」
「うん!」
、、、ほんま、どんだけなん?
ユキちゃんは小さい。
僕が大きいせいもあるけど、たぶん同年代の他の子に比べても小さい。
だから別に早足で歩いてるわけとちゃうけど、いつのまにかユキちゃんは後ろにいる。
けど僕は待ったりせぇへんよ。
「あ!」
だってこのコときたら、そう言ってすぐにタタタと駆けてきては僕の隣に並ぶから。
「ふふーん」
そしてなぜか得意げに笑うんや。
その顔は何でそんなにホクホクと嬉しそうなんやろう。
ほんま、どんだけなん?
そんなんやから僕はいつもどんな顔してたらいいんか分からんのや。