第1章 冷たい手【巻島裕介】
あー、参った。
もう本当に最悪だッショ、、、。
「私、やっぱり裕介と一緒にいたい、、、!」
久しぶりに会った美月があんなことを言うもんだから、つい身体が先に動いちまったッショ。
しかも、抱きしめた後どうしようかと考える前に、キャリーバッグを倒しちまって、弾みで荷物はバッラバラ。
そんで何も言えずに荷物拾うの手伝ってもらってるとか、カッコ悪すぎだッショ、、、。
あー!クッソ!
ってか何で美月がここにいるんショ!
東堂のやつ何勝手に、、、
せっかく、、、もうこれで終わりになるはずだったのに。
ってかコイツも何なんだってんだッショ!
ずっと連絡がないと思えば学校サボってこんなトコまで来て、あんな、、、
あんな、、、?
クッソ!思い出して顔が熱くなるとかどんだけだっての!
っつーか、あんな風に言われたら誰だって、、、
クッソ!誰だって抱きしめずにはいられないだろーが!!
、、、っていうかアレ?よく考えたら、、、
一緒にいたい!?
それって、、、それって!?
「、、、」
ダメだ!美月に確認したいけど、この顔を見られらわけにはいかねぇッショ!!
もう!どうすればいいんショ!!
ん?っていうか、なんかさっきから美月が静かだ、、、
「ショ!!!!?」
俺はチラリと美月の方を見て、その手元にあるものに気がついて声を出さずにはいられなかった。
その声にゆっくりと美月が振り向く。
「、、、あの、裕介、これ、、、?」
「あぁ!それはダメだッショ!!」
急いで美月の手からそれを奪い取る。
それは高校入学の時、おふくろが撮ってくれたただ1枚の美月と2人で写ることができた、大切な大切な写真だった。