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恋の話をしよう【弱虫ペダル】短編集

第1章 冷たい手【巻島裕介】


「裕、、、」




ガタン!!



突然のことに頭の中を整理する間もなく、裕介のキャリーバッグが倒れた。



「「あ、」」


裕介と声が被って、その顔を見上げると、裕介もこちらを見ていた。


裕介の顔は、あれ?少し赤い、、、かも?



バッ!



そう思った瞬間、身体を離された。


「、、、、」
そして裕介は黙ってキャリーバッグが転げた弾みで出た荷物を拾うために、背中を向けてしゃがみ込んだ。


「、、、えっと、私もっ」


咄嗟にその隣にしゃがみ込み、荷物を拾うのを手伝おうとした。



「、、、、」




き、気まずい、、、っ。
っていうか、さっきのは何!?


隣の裕介がガサガサと音を立てる。
その度に鼓動が大きくなって、顔中が熱くなった。


さっきのって、、、
さっきのって、、、
一体なに!?



ってか私、ヤケクソとは言え恥ずかしいこと口走った!?
で、その返事は!?
何で裕介喋らないの!?


あぁ、、、もう、目が回りそう。



隣の裕介が気になったけれど、その顔を見る勇気は出なかった。


とにかく必死になって裕介の荷物を拾う。


とりあえず落ち着け。
今は荷物に集中するんだ!


今は、、、って、あれ?


躍起になって拾う荷物の中に何だか見覚えのあるものが目に入った。



少し困ったような顔をした細長い緑色の髪の男の子と、その隣で笑う私、、、の写真?



それは私の部屋に置いてあるのと全く同じ写真立てに入って落ちていた。
そっとそれを手にとって眺める。
傷がつかないように丁寧にビニールを被されたそれは、、、



間違いない。
あの時撮った写真だ。



でも、どうしてこれを裕介が、、、?






「、、、」





私は頭が真っ白になった。




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