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恋の話をしよう【弱虫ペダル】短編集

第1章 冷たい手【巻島裕介】


振り返った裕介はすぐに私から目を逸らした。
誰かと電話をしていたようで、焦った様子で電話に呼びかけていた。




相手の子、切っちゃった?
もしかして邪魔した、、、?



胸の辺りでズキンと嫌な音がした。
と同時に弱気がすごい勢いで襲ってくる。



ダメだ、負けるな。
陽子にも言ってきた。東堂くんにも宣言した。
もう逃げられない。
負けるな。



そう自分に言い聞かせて進みたくないと言う足を前に進めた。


「裕介」



喉が詰まってうまく声が出ない。


「う、、、美月」


電話を片手に裕介が顔を上げた。
その顔はやっぱり想像してた通り。


ねぇ、そんな反応しないでよ。
ちょっとは嬉しそうにしてよ。



笑っちゃうほどの困り顔。



、、、やっぱダメ、なのかな。




「裕介、私、、、」




もう半分ヤケクソだ。

これが最後になるのなら、せめて笑ってちゃんと気持ちを伝えようか。






「私やっぱり裕介と一緒にいたい、、、!」






「、、、ッ」


小さな舌打ちみたいな音が聞こえたような気がした後、私の前から裕介の姿が消えた。
そして代わりに、ふわっと良い香りがして私の身体は温かいものに包まれた。




「え、、、?」






気がつくと私は裕介に抱きしめられていた。









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