第1章 冷たい手【巻島裕介】
「、、、、」
裕介のそんな知らせを聞く将来、、、。
そんなこと考えたこともなかった。
私はいつだってそうだった。
何にも考えず、自分からは何もしなくてもいつかきっと。なんて、、、
それで裕介が遠くに行っちゃうってなったら、
裕介から連絡がなくなったら、
諦めるの?
自分からは何もしてないのに?
追いつく努力もしなかったのに?
それから大学でそこそこの彼氏を見つけて、いつか裕介と、お互い結婚したんだね〜とか話すの?
そんな将来、、、
「陽子っ!!」
校舎へ向かう陽子の背中に叫んだ。
「、、、何?」
振り向いた顔は、怒ってる。そりゃそうだ。
だけど、、、
「ごめん、陽子。私、意思弱すぎた。そんな将来イヤだ」
怯んでる暇なんてない。
「、、、」
「今日休むって先生に言っといて」
「、、、」
陽子はしばらく沈黙をしたかと思うと、ニッと白い歯を見せて笑った。
「おーけー任せなさい!」
陽子ちゃん、その顔可愛すぎでしょ、、、
ダメだ、泣きそう。
「ありがとう、、、っ!」
「成功報酬期待してるんだから、頑張りなさい!」
私は陽子にバシッと背中を叩かれ走り出しながら、彼女に向かってピッと親指を立てた。