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恋の話をしよう【弱虫ペダル】短編集

第1章 冷たい手【巻島裕介】


だけど、、、
陽子の言うことはその通りで。




私は“インターハイ”から逃げていた。




去年は楽しみで仕方なかった
夏休みも、インターハイも
ずっと、、、
ずっとこのまま来なければいい。



そんなこと考えたって無駄なのに。
耳を塞いだって目を瞑ったって
何も変わらないのに。





インターハイが終わったら、
この夏が終わったら、








裕介はいなくなってしまう。








どうやったってその事実は変わらないのだ。




だったら、、、
裕介が迷惑そうにしてたって
会いに行けばいいじゃない。

気まずいなんてそんなこと
考えてる暇なんてないじゃない。







そんなことちゃんと分かっているのに。







残り少ない時間を
少しでもあなたと過ごしたいのに。








怖かった。
これ以上、あなたを好きになってしまうことが。












「えぇっ!!何!?」


気がつくと私の頬に何か温かいものが伝って、いつも気丈な陽子が目の前であたふたとしていた。


「どーせだなんて、、、ヒドイよ。陽子。」



その様子が可笑しくて。
めちゃくちゃ笑える光景なのに、、、



あれ?
おかしいな。




今のセリフ、
笑って、ちょっと怒ったフリして
冗談めかして言うつもりだったのに。





私の声は掠れてうまく出なかった。



「ごめん、、、陽子」




今、全然笑えないや。







「、、、一体アンタ達、何があったのよ」












背中をさすってくれる陽子の手が柔らかくて、温かくて私は全て吐き出した。







裕介には絶対に秘密なって言われてたのにね笑







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