【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第5章 星空だけが、きっと知ってる
昨晩、眠れない間中、渡すべきか、渡さないべきかずっと悩んでいた。
昨日の夜、あんな風に二人で話す事が無ければ、もっと悩まずに渡せたのに。
妙に意識してしまった今、軽薄な奴だと思われないだろうか。
だけど、ジュネスで水着を吟味していた事を鳴上も知っている以上渡さないのは逆に不自然だ。
ここは「折角なんで全員分用意しましたよー!」このノリで行くしかない。
「・・・花村先輩、あの電話ってコレの事だったんすか・・・マジ引くっス・・・」
軽蔑の眼差しで俺を見る完二の隣で鳴上が持参してきた海水パンツを鞄から取り出そうとしている。
「それじゃあ俺達向こうで着替えるから。覗くなよ」
涼しい顔でそんな軽口をたたく鳴上。
「覗かないし!」
里中の声を背中に浴びながら、俺と鳴上は草むらに逃げ込むように走る。
「つうか鳴上、お前その柄・・・」
隣の相棒が着用しているその海パンには見覚えがある。
先月ジュネスの新商品として販売が始まったものの、微妙すぎるデザイン故にあまり人気が無く、バックヤードには在庫が箱で残っている物だ。
「叔父さんが買ってくれたんだ。ハイカラだろ?」
鳴上は本気でそう言っているのか・・・?
たまにこの相棒の事がわからなくなる。