【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第5章 星空だけが、きっと知ってる
「いいかー・・・不埒というのは、不届きでけしからん事だ・・・。淫らと言うのはなぁ・・・」
徐々に諸岡先生の声が遠ざかって行く。
ようやく何も聞こえなくなったところで、ゆっくりと体勢を崩す先輩。
気恥ずかしくて、顔は見られなかった。
「睦月、咄嗟だったとはいえ、悪ぃ」
「え、いやそんな・・・見つかるかと思ってちょっとドキドキしました」
「俺も。絶対ヤバいと思った」
緊張感が解れ、自然に笑みが零れて笑い声になるが、同時にふとそれに気付き唇を閉ざす。
そのシンクロがおかしくて、今度は声に出さないで笑い合った。
「さて・・・もう大丈夫そうだし、そろそろ戻るか」
「そうですね。あ、そうだ、指輪・・・」
結局まだ私の掌の中にあるそれを渡しかける。
「睦月、それ・・・お前にやるよ」
「え・・・?」
「なんつーか、色々話してくれてサンキュ。そのお礼ってコトで」
それだけ言うと私に背を向け立ち去ろうとする花村先輩。
妙に名残惜しくて、つい呼び止めてしまう。
「あっ、は、花村先輩!」
「ん?」
「おやすみなさいっ!」
返事の代わりに、背を向けたままの先輩が片手をひらひらと振って見せた。