【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第5章 星空だけが、きっと知ってる
「腐ったミカンはいねがぁー・・・腐ったミカンはぁー・・・」
咄嗟に崖の上を見上げると、ふらふらとした足取りの人の影。
「やべっ!モロキンじゃん!」
そのあだ名に聞き覚えがあった。先輩達の担任で、生徒からは随分と評判が悪い。
だけどそのトーンはどことなくふわふわとしていて、脅していると言うよりは、独り言の様だ。
「どっか、どっかに隠れるトコ・・・!」
噂によれば、モロキンこと諸岡先生に目をつけられ、謂れのない因縁をつけられた挙句、退学まで追い詰められた生徒も数名いるらしい。夜中にテントを抜け出しただけならまだしも、異年齢の異性が二人きり。この先生が問題にしないはずがない。
彼が足元の崖下にいる私達を見つけるのは時間の問題だ。
その場で硬直している私の腕を、花村先輩の手が引く。
「睦月、こっちだ。音立てないようにな」
そう囁かれ、導かれるまま崖の壁際に生えている木までそっと移動する。