【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第5章 星空だけが、きっと知ってる
不意に会話が途切れる。
気まずさというよりは、その空気を分かち合う様な優しい沈黙。
私はポケットの中の指輪を握りしめながら、それを取り出した。
「先輩、あの・・・これ・・・」
「ん?コレって、俺のか」
「実は、四月にテレビの中で拾ったんですけど、渡しそびれちゃってて・・・」
「あぁ、そうだったんだ。どっかで失くしちまったとは思ってたんだけど、睦月が持ってたのか」
「すみません、ずっと返せなくて。・・・あの、大事な物、なんですよね?」
「え、いや、それほど大事な物じゃねぇんだ。転校してくる前にあっちで買った物でさ、何となくずっと身に着けてただけだから」
そうはいっても、つまりは先輩と転校前の都会を結ぶ大切な物であるのは事実だ。
皆の前だろうが何だろうが、すぐに返すべき物だったんだ・・・
返す言葉が見つからない私に先輩は続ける。
「それにしてもお前、コレがよく俺のだって判ったな。こんなん、どこにでもあるようなモンなのに」
それは・・・
それは、貴方の事が好きで、ずっと見つめ続けていたから。
だから、ごくごくありふれたその指輪も一目で貴方のだと判ったんです。
そんなの言えない。
一歩間違えればただのストーカーだ。
「いや・・・それはその・・・」
しどろもどろになったその時、すぐ近くで人の気配がした。