【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第5章 星空だけが、きっと知ってる
はぁ・・・テントに戻ったら、またどっかのテントのイビキ、聞こえるんだろうなぁ。
眠れるかなぁ・・・。
先輩達、もう寝たかなぁ。
澄んだ空気を肺に送りながら睦月は一人、呟く。
ふと見上げると、晴れ渡った夜空には数えきれないほどの星が輝いている。
「綺麗な星空・・・」
すぐにテントに戻るのが勿体無い夜だった。
辺りには弱々しい街灯がいくつかあるだけの山の小路。
そっとテントへの通路から外れると、倒れた巨木がそこに在った。
「先生に見つかったら怒られるかな?」
と思いつつも、見回りの先生の気配も無いのでこの夜空を堪能するべく、巨木に腰を掛ける。
ポケットの中の金属が布越しに身体に触れる。
そっとそれを取り出し、夜空に掲げてみる。
あの日・・・テレビの中に初めて入った日に、中央広場で拾った指輪。
ごくごくありふれているプレーンなデザインのそれは、拾ったあの時から想い人に返しそびれたままでいた。
先輩・・・
そっとそれを自分の指に嵌めてみる。
小さな指にはその指輪はサイズが合わず、親指に嵌めてみてももてあましてしまう程だった。
いつも中指に嵌めていたこれを、早く返さないと。
そう思いつつも、何となく皆の前で返すのが憚られた。
四月の末に少しだけ二人きりで話をする機会があったが、その時もタイミングを逃してしまい、結局そのまま睦月は肌身離さず持ち歩いていた。
ポケットに再びしまい込み、思いを馳せていたその時、
不意に後ろから声が掛かった。