【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第3章 レンズの向こうのその背中
未だ慣れない浮遊感に身を任せながら辿り着いたのはあの時の広場。
悠曰く、他のテレビから入る事も可能らしいが、どこに繋がっているかわからない以上はジュネスの大型テレビから、という決まりを設けたとの事。
聞きなれた甲高い声が歓迎の声を張り上げて近づいて来る。
「おー!センセイ!それにチミはあの時の!確か、ムッチャンクマね?」
「クマ君、雪子の所に早く行こう!」
言うなり一目散に走りだす千枝。
「おい、里中待て」
その背中に悠達の制止の声は届かなかった。
「里中の奴、周り見えてねーな・・・」
「急いで後を追おう」
「あ、チョーット待つクマ!」
クマが背中から何かを取り出し、睦月に差し出した。
「クマさん、何これ、眼鏡?」
「そう。クマ、もしかしてムッチャンに再会できるのではと胸をときめかせながら作ったクマよ」
手渡されたのは、スクエア型の眼鏡。
細いメタルフレームが紺色に鈍く光っている。
そう言えば、と睦月は今更悠と陽介、それに走り去ってしまった千枝がこちらの世界で眼鏡を着用している事に気が付いた。
おそるおそる装着すると、それまで視界を阻んでいた霧を透過してずいぶん遠くまで見晴らしが利くようになった。
「・・・すごい!」
「おお、クマの想像通りよく似合ってるクマ!」
「よし、行こうか」
三人と一匹は千枝の背中を追い始めた。