【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第3章 レンズの向こうのその背中
「まぁ、何にせよ俺達三人で揃って睦月に詰め寄る形にはしたくなかったんだ。断れない状況下での無理矢理っていうのは良くないと思って。ちゃんとした本人の同意が欲しかったから。」
「鳴上、その言葉絶妙ににイヤラシイぞ」
「で、睦月はどう思う?どんな答えでも俺達は落胆しないから、正直に思った事を言葉にして欲しい」
「え、えっと・・・」
まだ半分残っている缶ジュースは炭酸が抜けかけている。
その缶を両手で握りしめ、決意したように悠を見た。
「鳴上先輩、私の力が何かの助けになるのかは判りません。だけど、私は、先輩達と一緒に行きたいです」
その時、睦月の隣に座る陽介が急に声を荒げた。
「おい睦月、待てよ。お前も経験しただろ?あんな危ない所・・・!俺は反対だ。実際お前、死にかけたんだぞ」
指先を強く握りしめているせいか、陽介の爪の先が白くなっている。
知り合った人を失う事の辛さは、陽介にとって何よりも深い傷となっている
「じゃあ花村、どうして俺や里中は止めないんだ?」
悠の静かな反論に、陽介は一瞬怯む。
「そ、それは・・・。じゃあお前ら、俺が止めたらやめるっていうのか?」
「いや、やめないと思う。多分里中も。俺は、クマとの約束がある。里中は、天城を救いたい。ちゃんとそれぞれに理由があるから」
「じゃあ尚更・・・」
「花村先輩。私も同じ気持ちなんです。正直な所、天城先輩の事は良く知りません。だけど、先輩達が困っているなら・・・」
小さな反論だったが、その目にはハッキリと意思が見て取れた。
「・・・今度こそ、下手すりゃ死んじまうかもしれねーんだぞ・・・」
この言葉で諦めてくれるようにと半ば吐き捨てる様に陽介が呟く。
「じゃあ、こうしようか」
膠着状態の空気を壊したのは悠の澄んだ声だった。
「何かあった時に花村は睦月を守れ。それでいいだろう?」