【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第3章 レンズの向こうのその背中
「で、お前、ココで何してんの?」
「えっと、待ち合わせで・・・」
「ん、そっか。」
ごく自然に隣に腰掛ける先輩。
貰った缶ジュースを開けると、小さく炭酸が弾ける。
・・・沈黙。
何を、どこからどうやって話し始めれば良いのかわからずに、睦月は俯きながらジュースの缶の飲み口に視線をやり続ける。
先に口を開いたのは陽介だった。
「あの後、身体とかしんどくなかったか?」
「帰ってすぐベッドに入って、そのまま朝まで動けませんでした」
「はは、俺も似たようなもんだわ」
既に缶の中を飲み干した陽介は、傍らのゴミ箱にそれを投げ入れる。
「なぁ、睦月。お前さ、去年のあの事、覚えててくれたんだな」
「そりゃあ、私にとって大事件だったから・・・」
「お前、ヘンな奴だよな。あの時あんなに怯えてた子がさ、その時よりも恐い相手に一歩も引かないなんて」
からかうような口調の陽介に、睦月は内心で反論する。
(だって、あの時先輩が助けてくれたから、私は強くなれたのに)
「でもホント助かったよ。改めてサンキューな、睦月」
「私の方こそ、半年前からずっとお礼言えてなかったです。助けてくれて、ありがとうございます」
「そう言えば睦月さ、ずっと気になってたんだけど、お前なんでまだそのパーカー着てんの?俺、転校前から着倒してたからもうクタクタじゃんよ、それ」
言えるはず、無かった。
あの瞬間からずっと好きな貴方から貰った物をいつでも身に着けていたいから、なんて。
「お待たせ」
その時、二人の後ろから待ち人の声がした。
同時に振り返ると、急いで来たのかうっすらと汗を滲ませた悠がそこに立っていた。