【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第1章 4月に芽吹くヒーロー
「里中先輩、本当にすいませんでした・・・」
霧雨の中、千枝の隣に並びながら睦月が改めて謝罪の意を示す。
「え?何言ってるの?もう大丈夫だよ。皆無事に帰って来たって事で気にしない気にしない!」
睦月の謝罪の中には、千枝に対しての嫉妬の念があった事も含めてだが、千枝は知る由もない。
「そういえば睦月ちゃん、何で私の名前知ってたの?」
テレビに入り込む瞬間、ロープを引っ張る千枝に咄嗟に声を掛けた事を思い出す。
「あぁ、えと、それは・・・」
まさか想い人とじゃれ合ってるのを見ているうちに知った、などど言えるはずも無く、お茶を濁す。
「あのほら、里中先輩って、一年生の間でちょっと憧れてる子が多いっていうか・・・」
「え!?そ、そうなの!?へへ。なんか、照れるなぁ・・・」
まんざらでもない千枝の声。
「あ、私、家こっちの方なんで」
タイミングよく十字路の辺りまで来たので、睦月は上手く話を切り上げる。