【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第1章 4月に芽吹くヒーロー
「あれ?・・・花村、アンタ、どうしたの?」
「え、何が?」
千枝が立ち上がりかけた時、ふと見たクラスメイトの横顔が、さっきまでとは違い、どこか大人びて見えた。気のせいだろうか。
「テレビの中で何か、あったの?」
「いや、別に。ほら、兎に角今日はもう皆帰ろうぜ」
その言葉で、今度は本当に皆家電売り場から離れ、微かに降る雨の中、外へと足を踏み出した。
「睦月、帰れるか?」
ビニール傘を開きながら悠が睦月の方を見る。
睦月が応えるよりも早く、千枝が片手をあげて宣言する。
「睦月ちゃんの事はあたしが送るから大丈夫。なんか花村疲れてるみたいだし、鳴上君はそっちお願い。あたしは花村送るのイヤだし」
「そうか」
「あのなぁ、俺にも聞こえてんだけど」
「はいはい。それじゃあ女子チームはこっち。それじゃ、また明日ね!」
千枝に促されて睦月は歩き出す。
途中でそっと振り返り、守ってくれた先輩二人に小さく会釈をした。