【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第1章 4月に芽吹くヒーロー
「大丈夫?家まで送ってくよ?」
「すぐそこなんで帰れます。里中先輩、ありがとうございます」
「千枝、でいいよ。こうやって知り合ったのも何かの縁、ってね」
「わかりました。それじゃあ千枝先輩、また学校で!」
「うん、バイバイ!」
別れを告げて見上げた空は、いつの間にか雨が止んでいて、雲の切れ目から日差しが顔を覗かせていた。
自分が彼女に抱いていた感情を知らないとはいえ、身を案じてくれ、明るく振る舞ってくれた千枝先輩。
彼女の優しさに触れて、一方的な誤解の目で彼女を見ていた自分が恥ずかしい。
だけど、これも私の中の感情の一つ。
否定はしない。否定はしないけど、間違っていると思う所は直して行こう。
もう一人の私が、あんな顔をしなくても良いように。
ビニール傘を畳み、睦月は水を含んだ空気を肺一杯に吸い込んだ。
終