【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第1章 4月に芽吹くヒーロー
「里中先輩、ごめんなさい!」
隣で千枝に首を垂れる二人組に倣い、睦月も深く頭を下げた。
三人が戻ってくるまでの間はそれほど時間の経過は無かったが、千枝の制止を振り切ってしまった所為で、千枝はその間、睦月を止めきれなかった事を酷く後悔していた。
「睦月ちゃん、だっけ。先に戻って来た鳴上君から聞いたよ・・・無事で・・・無事で良かったぁ・・・っ!もしもの事があったらあたし・・・あたし・・・」
ジャージで顔を覆い号泣する千枝には、その「もしもの事」が一度起きかけてしまったのは言わないでおこう。
悠と陽介は言葉は発さずに目線だけで互いに頷き合っている。
「里中、悪かったって、だからもう泣くなよ・・・」
「・・・ビフテキ」
「え、何て?」
「花村、ビフテキ10皿おごって。・・・鳴上君は肉丼。」
「俺も・・・!?」
涙をジャージでこすり、千枝は続ける。
「それから、睦月ちゃんは、それを私と一緒に食べる事。・・・それで許す」
「へ?」
「里中、なんなんだよその条件・・・」
「もー、何でもいいの!」
それぞれに疲弊しきった四人は、これ以上の言い合いをする気力も無く、ひとまずその日は帰路に向かう事にした。