【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第1章 4月に芽吹くヒーロー
意図せずシャドウを御した経緯は、中々本人を前に話す事が憚られる。
「確かムッチャンあの時ヨー・・・」
「だ、だめだめだめ!クマさん?だっけ。お願い、今は言わないで!」
「どうしてクマ?」
「ごめんね、今はちょっと、そこには触れて欲しくないから・・・」
気持ちを察したのか、悠がクマをそっと手で制する。
「分かった。それじゃあそっとしておく。クマも、それでいいよな?」
未だ納得のいかないクマに、悠が優しい視線を送る。
「むむむ、センセイが言うならそうするクマよ」
「さて、と」
両の腿を軽く叩きながら陽介は軽く伸びをした。
「そろそろ俺達もあっちに戻らねーとな。里中も心配だし・・・っていうか、睦月はどうやってこん中に入って来たんだ?」
「それは・・・先輩たちが、ジュネスのテレビに吸い込まれていくのを見て、里中先輩が千切れたロープみて泣きそうになってて・・・先輩達を助けに行かなきゃ、って思ったらテレビに入れました」
「俺達、そんな頼りなく見えた・・・?」
陽介が苦笑する
「いや、そういう訳じゃないんですけど、なんて言うか、どうしても行かなきゃってあの時、何でかわからないけどとても強く思ったんです」
「そうか。・・・でも、まずいな」
「鳴上、何がまずいんだ?」
「さっき睦月が言っただろ?里中が泣きそうになっていた、って」
「あ・・・やべぇ。里中にも心配かけてるし、今日はもう戻ろうぜ」
「センセイ、ヨースケ、また来てくれるクマよね・・・?」
「あぁ。約束しただろ。クマは約束通り俺達に協力してくれたから、今度は俺達が約束を果たす番だ」
「ヨースケはともかく、ムッチャン、クマに会いに来てくれる?」
クマと先輩二人の関係性がいまいち掴めない睦月。
それでも、会話の内容からしてクマはこの空間からは出られない存在らしい。