【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第1章 4月に芽吹くヒーロー
「あ。鳴上、目ぇ覚ましたみたいだぞ」
次に睦月が目を覚ました時には、テレビに飛び込んだ時に転がり落ちた最初の広場だった。
身体に伝わる温もりが、背負われていた為だと知り慌てて背から降ろしてもらう。
「もう、大丈夫か?」
「あ、はい。何か・・・ごめんなさい」
「気にするな」
「むしろ俺達が助けてもらっちまったぐらいだしな」
「ところで、君、名前は?」
そう聞かれて初めて目の前の先輩の名も知らぬことに気が付いた。
「えっと、私は雪芝睦月、です。同じ八十神高校の一年三組です」
「鳴上悠だ。睦月、よろしくな」
悠がごく自然に手を差し伸べて来るので、睦月もそれに倣い握手を交わす。
「俺は・・・花村陽介。改めて宜しくな」
同じく陽介が睦月に手を差し出す。恥じらいの為に少し躊躇ったのち、睦月も陽介の手を握り返す。
「クマは、クマクマ!ムッチャン、よろしクマよ~」
陽介の後ろからクマが元気よく飛び出す。
「おい、だからびっくりさせんなって。また混乱しちまうだろーが!」
陽介の制止も振り切り、クマが睦月の手をとりぶんぶんと幼い握手をする。
「ムッチャン、クマね、ムッチャンがシャドウと向き合ってるの、実は見てたクマよ。すごいクマね。シャドウを暴走させずに力にするなんて。多分クマ、初めて見た」
「本当か?睦月」
「すげぇな、どうやったんだ!?」
「あ、はい・・・」
言いかけて、自身のシャドウの醜さを思い出す。
それに次いで陽介への想いをぶちまけた事、ついてはそれを目の前のクマと名乗る自我を持っているらしき着ぐるみに見られていたらしい事も。