【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第13章 The Orange days
「ったく、何処行ってたんスか?心配したんスよ?」
「はは・・・悪ぃ」
後輩に怒られながらも身を案じていてくれた事が嬉しい。
皆と合流したのは花火が終わって人もまばらになって来た頃だ。
「俺が陽介たちに飲み物頼んだんだ。悪かった」
ありもしない約束をでっち上げた悠がさりげなくフォローを入れてくれた。
「それじゃ、花火も終わっちゃった事だし、そろそろ帰ろうか」
誰かの一声に全員が同意し、ゆっくりと神社から離れて行く。
「あ、お兄ちゃん!」
鳥居のすぐ下に、堂島さんと手を繋いだ菜々子ちゃんの姿が見える。
「おう、悠。随分混んでたな。もうそろそろ帰ろうかと菜々子と話していたんだが、お前はどうするんだ?」
「それじゃあ、一緒に帰ります」
輪の中から悠が離れ、振り返り皆に手を振る。
「それじゃあ、皆、おやすみ」
「おやすみなさい」
「先輩おやすみなさい!菜々子ちゃんもね!」
各々が悠に声を掛ける。
悠が菜々子ちゃんの手を取り、堂島さんと悠に手を繋がれる形で菜々子ちゃんはじゃれつきながら遠ざかって行く。
「さて、そんじゃ俺達も解散と行きますかね」
俺の言葉を切っ掛けに、それぞれが動き出す。
「んじゃ、俺家近いんで。おやすみなさいっス!
「私達は一回、雪子先輩の家に行って着替えてから解散するね。先輩、クマ、おやすみ!
「そんじゃ花村、またねー」
「先輩、それじゃあまた」
そう言って睦月も他の女子と並んで帰路へと着いて行った。
その言葉に、次はいつ会えるだろうかと少し期待をしてしまう。
皆がそれぞれの方向に歩き出して行ったのを確認した後、俺も自分の家へと歩き始めた。
祭りの余韻が俺の中を満たす。
あの瞬間の事が何度も頭の中を巡る。
「ヨースケ?どこか具合が悪いクマ?」
心配そうに見上げて来るクマ。
「あ、や、なんでもねーよ。ホレ、俺達も帰るぞクマきち!ダッシュだ!」
クマを促しつつも、まだ余韻を手放したくない俺は無意識のうちに睦月とのキスを思い返していた。