【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第13章 The Orange days
履きなれない下駄で睦月が転ばないようにしっかりと手を引き人の波を逆らう様にすり抜ける。
灯から離れた暗い境内の隅まで着く頃には二人ともうっすら汗をかく程だった。
「せ、先輩・・・どうしたんですか?」
人混みの中で崩れたのだろう、浴衣の合わせをさりげなく直しながら睦月が俺に困惑したように問いかける。
「どうしたって言うか・・・その・・・」
こんな事をした理由は一つしかない。睦月と二人きりになりたいからだ。
だけどそれを直球に伝えられる程、俺に度胸がある訳では無かった。
付き合う事になったあの日以降、顔を合わせていなかったから、余計に何から話して良いのか判らない。
「あー・・・えと、睦月、あれから元気、してた?」
二人きりになった瞬間の俺の第一声が自分自身でも情けない。
「え?あ、はい。先輩こそ、ジュネス、忙しかったですか?」
「はは、まぁな」
ぎこちのない会話が途切れた。
喉の奥の固唾を呑み込み、俺は一歩、言葉を踏み出した。
「睦月・・・あのさ。俺・・・ずっとお前に会いたかった」
「先輩・・・」
「この数日、何しててもずっとお前の事が頭から離れなくて。今日だってさ・・・本当は二人だけで会いたいって・・・思ってた」
睦月と目線を合わせるのが気恥ずかしくて、俺は遠くにぼんやり灯る提灯を見続けた。
「そんで・・・気が付いたら・・・こんな・・・。ごめんな、急にビックリしたよな?」
「は、はい。ビックリしてます。他の皆・・・大丈夫でしょうか?」
「あぁ、えっとそれは、心配すんな」
俺の説明不足に睦月はますます心配そうな顔を浮かべる。
「や、その件は後でちゃんと睦月にも説明するから、その・・・今は・・・俺と一緒に過ごしてくれねーかな・・・って」